
ずっとテーマに据えて撮り続けている水面直下シリーズ。
撮影のためだけに潜ることが出来る回数が少ない僕にとって、仕事の日でも唯一フリーに近い撮影時間を得られる浅瀬が、メインの撮影フィールドになる。しかし、悲しいかな浅瀬は、体内に蓄積する窒素等のリスクは少ないものの、今や衰えつつある筋肉にとっては、かなりハードな状況になってしまうことが多い。
波が打ち寄せる浅瀬での撮影は、脚力・腕力・柔軟性・バランス感覚の集大成である。おそらく、力任せ型の典型である僕に最も欠けているのは柔軟性で、それを脚力と腕力で補うことになるのだが、そのせいか、撮影が終わると筋肉痛に悩まされることが少なくない。
でも、今はまだ撮影できている。いつか、こんな体力型の撮影が出来なくなる日が来るであろう。そうしたら、もっと穏やかな環境での撮影に取り組み始めることになるはずだ。そうなるまでは、波が洗うような場所に棲む大好きなギンポたちと向き合っていこうと思うのであった。
伊豆で普通に見られるイソギンポの仲間基本5種(カエルウオ・タテガミギンポ・ホシギンポ・ナベカ・イソギンポ)は、どれも波打ち際で見ることができる。それぞれに微妙に棲み分けがあるようにも見えるのだが、明確な線引きが出来ていない。
この中で、いちばん棲息水深範囲が広く、深いところでも見られるのはイソギンポで、水深10m付近に定住していたのを確認したことがある。しかし、イソギンポとて、深いところにも居るものの、他種と同じところにも居るわけで(むしろその方がメイン)、棲み分けといえるようなものではない。
井田で見ていて、こうなのかな?…と思うようなことがあっても、大瀬に行って見てみると覆される…というようなことを繰り返しているのであった。
現在、井田・大瀬限定ながら、分かっていることは、ナベカはゴロタ海岸のような軽斜面の波打ち際より磯場や防波堤のような切り立った環境を好み、カエルウオは切り立った環境でも見られるものの、他種よりは軽斜面の波打ち際の方を好んでいるように見える…という、あいまいな事例のみに過ぎない(苦笑)。しかし、これも僕の活動範囲内でのことなので、まったく確かではない。
おそらく、地学的な環境要因だけではなく、そこに棲む他種の勢力や個体単位の力関係など、偶然的なそのときの状況も影響を与えているのではないかと思われるので、あまりに少ない観察データによる考察は判断を誤らせることになるだろう。
状況的要因として考えられるもののひとつに繁殖期がある。ふだん大人しくしているようでいても、繁殖期になると俄然強気になるという例は少なくない。上画像のホシギンポの繁殖期は、同じ場所に棲むタテガミギンポやイソギンポよりも、やや後になるように見える。これまで姿が見当たらなかったのだが、最近になって、活発に行動する姿がやけに目立ってきた。今まで何処に居たんだろうというぐらいである。
井田での場合、ホシギンポの産卵場所は、他の仲間たちと比べて、あきらかに最も岸寄り波打ち際で確認されている。去年までは、そこで見られることが分かっていたので、他の場所ではチェックしていなかったのだが、もしかしたら、タテガミギンポやイソギンポが好んで産卵するエリアでも見られるかもしれない。見られなければ、井田での繁殖期における棲み分けはやや確定となる。…で、見られれば、確定はできないということになる。さて、どうなることだろう…。
ちなみに、モンダイは他にもあった…。こんなに一所懸命にイソギンポの仲間たちを観察していても、ビジネス的にどうなのだろう?…ということだ(苦笑)。可愛いし面白いのは確かなのだが、これを見たい!という方が居るのかどうか…。
まあ、居なくても続けるけどね(笑)。
イソギンポ科 / Blenniidae
ホシギンポ / Entomacrodus stellifer stellifer (Jordan et Snyder, 1902)
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コメントありがとうございます。
あくまでも楽しんでやっていることですんで、敬意などと言われると恐縮してしまいます。
実は、きわめて限られたエリアでの観察なので、普遍的な生態というところにまでは迫れないと思っているんです。どんな生き物でもローカル性を持っているはずだろうと…。
でも、自分が潜っている海のことなので、少しでも知っておきたいという思いは強いですし、同時に、この海のことを知らせたいな…と思ってます。
…で、いろんな所で同じように、自分の海のことに強い関心を持って見ている人が居て、そのデータが集まれば、より確かなことが分かってくるんではないかなと思ったりしています。
そうゆう意味で、こうゆう地味なネタにレスポンスいただける方がいてくれてウレシイです。ありがとうございます。
フィールドにおける観察の結果が何かの形になると良いですなぁ、と期待してしまいます。
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Photographer Matsukawa Soichi
"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。
ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…
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このブログで御紹介している画像は、基本的にノートリミング画像です。
ただし、[トリミング有り]と書かれている画像は、生物を分かりやすく紹介するために、トリミングをおこなっています。


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