伊豆の海は大潮回りになると、いわゆる潜水時間が干潮の時間帯になる。さらに春の大潮は干満の差が大きく、干潮時には思いっきり潮が引くので、浅瀬好きとしては非常に潜りづらくなって辛いところだ。
それでも、今年観察を続けている井田のコケギンポたちの居る水深は、波やウネリさえ強くならなければ、比較的楽に観察できるのがウレシイ。
そして、やはり大潮なのだろうか。今日はコケギンポたちの動きが活発で、午前中のダイビングでは、20分間程度の間に、雄雌が同じ巣穴に入る産卵と思われるシーンを3回も見ることができた。ちなみに、午後は、他のエリアのコケギンポをチェックしに行ったりもしたため、40分間で2回だった。それでも、1日で5回も見ることが出来るなんて、予想を遥かに超えたラッキーであった。
産卵行動は、お決まりのパターンで、まず、雄の居る巣穴の近くに雌が現れる。すると、それを見つけた雄は、巣穴から伸び上がるように出てきて、鰭を全開にし求愛ダンスを始める。最初は小刻みに体を震わせているのだが、雌がさらに接近すると、雄の動きは激しさを増し、体をくねらせるようなダンスを始める。そして、雌を巻き込むような体勢になって巣穴に誘い込み、うまくいけば、雌は巣穴の中に入っていく。雌が巣穴に入っている間、普通に大人しくしていたかと思うと、いきなり求愛ダンスのときのような動きを見せたり、ピンと背筋を伸ばしたような感じで硬直したようになったりしていた。
しかし、写真に撮影するのは難しい!!!
心情的には、ビシッと決定的瞬間という感じのショットをキメたいところなのだが、その全行程を見届けたいという思いも強いので、どうしても撮影に集中することが出来ない(苦笑)。
最初、なんとか撮影しようと思ったのだが、コンデジはレスポンスが鈍く、シャッターを切った後のブラックアウトと、ピントが合うまでのピンボケ状態の時間が長いので、見えてないうちに大事な瞬間を見逃してしまっているようで気が気じゃないのだ。
それでも何とか要所要所でシャッターを切ってみたのだが、手応えはイマイチで、モニターでチェックすることすらしないでいたのだが、家に帰ってからPCのモニターで見てみたら、鰭全開の雄の横から顔を出す雌の姿が写っていて嬉しくなってしまった。最高の出来栄えとは言えないかもしれないけれど、このシーンを見ることが出来た喜びとの相乗効果で、おいしいコーヒーを飲むことができたのであった。
コケギンポ科 / Chaenopsidae
コケギンポ / Neoclinus bryope (Jordan et snyder, 1902)
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こうゆう小さな魚としては、かなり長いですよね。
井田ダイビングセンターの"てつ!氏"から、卵が見えると聞いて、特に意識して見るようになったのですが、井田の場合、本当によく見えるんですよ。明るいし場所や角度がいいんだと思います。それに、かなり開口部に近いところまでビッシリ産み付けてあるので、目玉までハッキリと確認できますヨ。大瀬湾内のギンポ団地をメインに観察していた頃は、見づらかったのであきらめていたんですけどね。
ただ、写真は難しいです。長時間卵が見えていれば撮れると思うのですが、コケギンポが巣穴の奥に引っ込んだときや、捕食のために外に出たときに見るという感じなんです。目視ではシッカリ確認できるぐらいの余裕はあるんですけど…。
…で、その卵の増減を見ていると、30日以上もインターバルが無いような気もするんですけど…。とりあえずは観察ですね。
孵化の日数は30日以上ということですから、31日か32日か33日かもしれません。大瀬で狙うとしたら運もありますね。。。(笑)
あと、錦江湾と伊豆の水温の差で孵化の日数も若干変わるかもしれないという話も聞きました。
九州の方が水温が高いなら、伊豆はもう少し時間がかかる可能性もあるかもしれません。
もしもmatsukawaさんがいつでもナイトスノーケリングが可能なら、是非、狙ってみて下さい!
オスは複数のメスの卵を保護することもよく分りました。
穴の中の卵が見えるのはすごいですね。
いつも観察しているトウシマコケギンポはオオヘビガイの殻に入っている事が多く、穴がカーブしていてどんなに頑張っても奥が見えません。。。(涙)
卵が見えるとハッチアウトの予想もし易くなるかもしれませんね。
孵化まで30日ですか…
ずいぶん長いですね。
その半分ぐらい期間をイメージしてました。
稚魚を口に含んで放出するというのもビックリです。マダラギンポの専売特許だと思ってました。これは見てみたいですね!
孵化の時間は、他のギンポの卵を観察したときに、前日夕方はあったのに翌朝は無かったという事が多かったので、夜だと思ってました。
大瀬湾内のギンポ団地は浅くないので、狙い時が日没後1時間ぐらいと絞られると助かりますね。あとは日にちのタイミングです。ナイトが出来ない日だとツライなあ。いっそのこと、他所の超浅場のコケギンポエリアで、大潮を狙ってナイトスノーケリングでもしようかな(笑)。
> 卵保護中のオスはメスに求愛するのでしょうか?
これは、求愛すると考えて間違いないと思っています。4/8にUPした個体ですが、巣穴の中に明らかに産まれた時期の違う卵が見られることと、その卵が産み付けられている状態で、巣穴の中に雌を招き入れたシーンを2度見ています。
ちなみに、別個体(卵保護中)ですが、その個体は、求愛ダンスらしき行動をしていて、そこに近づいてきた雌に噛み付くというシーンを見ました。激しい求愛だったのか、威嚇行動だったのかは不明です…(笑)。
とてもすばらしい写真ですね。
コケギンポの産卵についてですが、錦江湾でガイドされている出羽さんからいただいた情報によると、卵は30日以上で孵化、孵化した稚魚はオスが口に含んで穴の外に放出するそうです。
時間は日没後1時間位、完全に真っ暗になってからだそうです。
その様子を見たくて見たくてたまりません。
今日大瀬で潜ってきました。
湾内のコケギンポ団地でオスの穴からメスが出て行くのが観察されました。
もし産卵していたとすると、今日からおよそ30日後で孵化となります。
ダメでもともとでその頃のナイトで狙ってみようかな。。。とも思っています。
ちょっと質問なのですが、卵保護中のオスはメスに求愛するのでしょうか?
今日上記の産卵後らしきシーンを見た後、そのオスの近くにお腹の大きなメスが来ても、オスは眼で気にするだけで、求愛をしませんでした。
それで、複数のメスには産ませないのかな、と思いましたので。。。
教えていただけましたら幸いです。
いずれにせよ、今日は、すごかったです。写真よりも本物の方が1000倍オモシロイです。
> レスポンスの鈍いコンデジで
まあ、なんと言うか、"撮った"というよりも"撮れた"という感じの写真なんで、あまり偉そうには言えないのですが…(笑)
反射神経は必要ですね。でも、それよりも、読みとか判断の方が大事かな。その瞬間に「今だ!」なんてやってたら間に合わないです。次の瞬間を予測して適切な操作をするということが肝心だと思います。
シャッター速度は、あまり関係ないんですよ。写るのはストロボが光った瞬間の像なので、シャッター速度よりも短い一瞬なんです。スローシャッター過ぎない程度(1/30秒よりも速ければ、たいてい問題無いです)、そこそこの速度にセットしておけば十分です。
> いずれも躍動感あるコケギンポで
躍動感は、もうちょっと欲しいんですけどね。
でも、明日は緊迫感がみなぎる画像をUPしましょう。
レスポンスの鈍いコンデジで、瞬間を捕らえるのは難しいですよね。。。反射神経が必要でしょうか。。。シャッタースピードをかなり早くしておかないとダメですよね?
最近アップされている写真は、いずれも躍動感あるコケギンポで 動画を見ているような興奮を味わえます
ホント面白いですね
Contrust scale (graduated 16steps)
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1024 x 768 True color (32bit)
font size : medium
"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。
ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…
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ただし、[トリミング有り]と書かれている画像は、生物を分かりやすく紹介するために、トリミングをおこなっています。