トウシマコケギンポだと思っていたこの個体。イワアナコケギンポらしいという情報が入ってきた。ちょっとビックリである。
極端に言うと、ボロカサゴだと思っていたらレイシースコーピオンフィッシュだったとか、ツバメウオだと思っていたらゼブラバットフィッシュだったとか…そんな感じ。もっとシンプルに言うと、2等入賞だと思っていたら1等賞だったという感じ(笑)。違っていて嬉しさが増すってことね。
僕は過去にイワアナコケギンポを見たことがない…と言うか、正確には、見たことはあるのかもしれないけれど、コイツはイワアナコケギンポだ!…とシッカリ認識したことがない。なので、いつものように、この個体はトウシマコケギンポだろうと判断したのだが、胸鰭の軟条数はイワアナのそれと一致するらしいので、どうやらその見解は間違っていたようだ。当初、撮影した画像では10本以上あるように見えた眼上皮弁の数も、10本無いかも…という感じにすら見えてきた(苦笑)。ただイワアナの定数とされる6~7本にも見えないというのが、チョットひっかかるところなのだが…。
僕は、採集して標本を作って…という学術的な世界は別として、フィールドにおいての種の見極めには、いかに数多く、そしていかにシッカリと見てきたかが重要だと思っている。たとえどんな学者さんが「白である」という見解を出したとしても、「いいや黒でしょう」となることが少なくないはず。
例えば、以前にも書いたことだが、フィッシュウォッチャーなら、まずこれを見なくてはオハナシにならないとされる、種の見極めの指標となる「日本産魚類検索 全種の同定 (東海大学出版会)」で、判断ポイントとして「○○は××となる」と記載されていても、それが、そう記載されていない他種にも当てはまってしまうことがあるのだ。(ex.アカオビハナダイとケラマハナダイの尾鰭の違い等)
もちろんこの個体が何であるかという100%正解の回答を僕自身は見出すことは出来ないし、まだトウシマコケギンポであるという可能性もあると思う。
こうゆうケースでは、真剣になって調べれば調べるほど、新しい事実が発覚し、惑わされるものなのだ。ちなみに、さっきまでは、「そうかコイツはイワアナだったのか!」と思っていた自分自身も、いろいろなトウシマコケギンポとされる画像を見ているうちに、それだったらこの個体はトウシマじゃなくてイワアナじゃないの?(逆だったかも…)と思うようなフシもあったりして、再び迷える人になりつつあったりもする。
そして、胸鰭の軟条数も絶対的な数値ではないはずなのだ。過去にそんなことがあったな…と思い調べてみたところ、トウシマコケギンポは通常は14本だが、13~15本の可能性アリで、イワアナコケギンポは通常13本だが、12~14本の可能性アリとされているのだ。どの程度正確な数値なのかは知る由も無いのだが、この基準を満たせる結果は、軟条数15本のトウシマコケギンポが居た場合と、軟条数12本のイワアナコケギンポが居た場合のみとなる。
まあ、個人的にはイワアナであってくれたほうがウレシイのだが、もうちょっとヨロコビを増すためには、僕自身がもっともっとたくさんの個体を観察して、違いを感じることが出来るようになることが必要なのかな…と思ったりするのであった。
でも、これの胸鰭軟条数13本の個体は、イワアナにしておきたいので、イワアナコケギンポに訂正しておこうと思う(笑)。
コケギンポ科 / Chaenopsidae
イワアナコケギンポ / Neoclinus lacunicola (Fukao,1980)
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"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。
ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…
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