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Diver's High +++ Underwater Photograph +++ Photographer Matsukawa Soichi

フサカサゴ属の一種 / 大瀬


 


 一時期、大瀬の好事家たちの間で話題になったというフサカサゴ属の一種。今年、四国の柏島で確認されたのが本邦初記録ということで、この個体は2個体目。世界的にも記録が少ないらしい。当然のことながら、まだ和名は無いため"フサカサゴ属の一種"という極めて地味な呼び方をすることになる。

 フサカサゴ属の一種でも、個人的には充分に興味をそそられるのだけれど…一般的には、やはりインパクトに欠けるかな…。大瀬では、当初、ボロカサゴの仲間の一種…と呼ばれていたようで、集客力を考えると、この間違いは現地には福音だったのかもしれない(笑)。ちなみに、学名は"Hipposcorpaena filamentosa"、カタカナ読みにすると"ヒッポスコルパエナ・フィラメントサ"。横文字だと、チョットありがたみが出てくるかな?

 生態的な事に関するインフォメーションは手に入らなかったので、例によって、きわめて雑感的なコメントに終始してしまうのだけれど、珍しいとか珍しくないとかを抜きにしても、とても魅力的なサカナだと思った。何といってもデザインがいい!カサゴの仲間には個性的でユニークなデザインの種が多いのだが、その中でも魅力的な種だと思う。こうゆう記録的に価値があるサカナの場合は、まずは1枚、ドンピシャで真横から鰭全開の姿をパンフォーカスで撮っておくのがセオリー。それから、正面顔を撮ったり、背景を意識したり、構図を考えたり…しながら作品を作り上げていくというのがいつものパターン。…で、おそらくは、ガイド仲間の面々や写真派の面々は誰もが撮影している画だと思うけれど、それでもこの真横からのカットにいちばん力があると思った。その存在感ゆえに下手な小細工は無用だという気がする。

 ただ、この手の記録が少ない生物が登場したときに大騒ぎされる状況を見て、妙に醒めた印象を持つことも事実だ。価値というのは本来は個人の思い入れによってその大きさが変わってくるものだと思うのだが、珍しいと言われているから…というだけで騒がれているケースが多いような気がするのだ。そうゆう人たちって、たとえば、どこにでもいるようなサカナを指差し「あれは凄く珍しい!」というと、それだけで見る目が変わってしまうのではないかと思う。そんなブランド志向に似た皮相的で軽い感じが嫌いで、極力「レア」だとか「稀少」だとかいう言葉は使わずに、一人一人の感性のままに印象を感じてもらいたいと思っているのだが…。

 現実的に考えても、このヒッポスコルパエナ・フィラメントサが世界でも数例しか記録が無いといっても、実際には何千匹…いやもっとたくさんの数がどこかにいるはずである。種として存在し本来の生息環境ではない大瀬にまでやってくるこのサカナが、世界で数個体しかいないという可能性は普通に考えれば高くはないはずだ(もちろん実際にそうである可能性もなくはないが…)。大瀬では珍しい…これが確かなことも間違いないし、そこだけに価値観を見出すこともできる。しかし、実際にこの種はどんな生き物なのか…といった考察もなにも抜きにして、ただ単に客寄せパンダのようになってしまっている状況というのは、やはり薄ら寂しい気分にさせられるのであった。
 

フサカサゴ科 / Scorpaenidae
"ヒッポスコルパエナ・フィラメントサ" / Hipposcorpaena filamentosa


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2007/12/19(水) 20:30:20Fish trackback:0 comment:3 フサカサゴ属の一種 / 大瀬
コメント
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2007/12/21(金) 15:56:23 | | #[ 編集]
> UMEDA さん
 コメントありがとうございます。
 このサカナ、ほんと実に興味深いです。このときは、これが見たくて海に行ったのではなかったんですが、現地のスタッフから教えられて、じゃあちょっと見てみようかな…という軽い気持ちで見に行ったんですけどね。ハマッてしまって、気がついたら2時間以上海の中にいるはめになりました(笑)。


> 貴重種と聞けば人間の性(?)なのか日本人の性(?)なのか敏感に反応してしまうのは仕方が無いような気も・・・(笑)

 確かにその通りです。でも、一事が万事とまでは言わないものの、その薄っぺらさゆえに多くの問題が生じているのも間違いないところです。
 たとえば、稀少種に注目することとリンクすることなのですが、それ以外のことに対してあまりにも無関心ということが気になります。ダイビングポイントでは、稀少種が現れると、その周辺の腔腸類がズタズタになったりします。同じ生物なのに扱いが違うってことですよね…。こと自然に接する上では、そういった偏った接し方には問題があるでしょう。ダイバーってそうゆうものなの?って話です。

 …で、そうゆうのって、知的な部分での成熟度にもよるのだと思うのですが、少なくとも、先日の産地偽装の件みたいに、「○○地鶏は、やはり一味違うね」などと言いながら、ブロイラーを食っていた…なんてのは愚かじゃないですか(笑)。
 やっぱり、知識とか経験とかの積み重ねがあってこそ違いが分かるようになれるわけですし、違いが分かるようになって初めて分かるオモシロさって本当のオモシロさだと思うんです。それゆえに、皮相的で偏った騒がれ方とか騒がせ方には醒めてしまうというわけです。

 まあ、UMEDAさんの言われるとおり、きっかけは必要ですし、そのきっかけによってイイ方向に向かうのなら万々歳です。僕だって、このサカナにはものすごく興味があるんですよ。

 でも、丁寧にこわれものを扱うかのように何かを観察しているというのに、いきなり煙幕に包まれたように視界が無くなったり、人が落ちてきたりというめに遭い続けていると、もうちょっとダイビングってものを考えようよ…という愚痴も言いたくなるってことで…(笑)。 
2007/12/20(木) 22:54:32 | matsukawa | #4R5.xbJk[ 編集]
とても魅力的なフォルムの魚ですね!
僕はホウボウ系の魚やカサゴ系も好きなので
見てみたいですね♪


貴重種と聞けば人間の性(?)なのか日本人の性(?)なのか敏感に反応してしまうのは仕方が無いような気も・・・(笑)

しかし!その事から他の魚も珍しいかも!と
注意深く観察し興味を持つ人も居るかも!(僕のように!w)
2007/12/20(木) 21:37:59 | UMEDA | #-[ 編集]
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"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。

ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…

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