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Diver's High +++ Underwater Photograph +++ Photographer Matsukawa Soichi

トウシマコケギンポ / 大瀬


 


 念願成就!ついに大瀬で撮影することが出来たトウシマコケギンポ。あまりのウレシさに笑いが止まらず、変なヒトのようになっていたかもしれない。

 トウシマコケギンポは、IOPなど東伊豆のダイビングポイントではきわめて普通に見られるコケギンポの仲間なのだが、なぜか大瀬では見つけることが出来なかった。西伊豆では、田子・雲見・土肥で確認しているので、大瀬で見られても当たり前のような感じなのだが、何故かその姿を見かけなかったのだ。

 大瀬で見られるコケギンポの仲間は、ほとんどがコケギンポで、アライソコケギンポが混ざることがあるであろう(この両者も、鰭の軟条数など、かなりシッカリと精査しないと判別不可能だが)…という感じだ。そして、もしかしたらシズミイソコケギンポもいたのかもしれないが、決定的な根拠を見出すのはけっこうムズカシイ。ちなみにこの3種はやや顔が突出している。

 トウシマコケギンポは、上記の3種と違って、顔が丸っこい。犬で言うと、上記の3種は柴犬のように鼻先が伸びている顔で、トウシマコケギンポはブルドッグのように鼻先が短い。あと、基本的には眼上皮弁の長さがGIカットのように短いのも特徴で、先出の3種は眼上皮弁がトウシマコケギンポよりも長い。コケギンポの画像は、このブログでも大量にUPしているので比較してもらえれば、その違いが判ると思う。

 この辺の違いは、見慣れているヒトにとっては、フィールドにおいても一目瞭然なのだが、そうじゃないヒトやシッカリ見ようという意識の無いヒトにとっては、違いが判らず同じように見えたり、同じなのに違って見えたりするようだ。
 大瀬にいると、よく、ログブックを書いているグループの声が聞こえてきてしまったりするのだが、そこで、ゲストの方にトウシマコケギンポと書かせているガイドは実に多い。現役の大瀬のガイドと話をしたときも「アマチュアの頃にガイドにそう書かされた」という話を聞いたなあ。まあ、ほぼ間違いなくほとんど全てが間違いであろう。

 大瀬に来て、お客さんのログブックにトウシマコケギンポと書かせるガイドは、信頼できるかどうかチョット疑わしいだろう…というのが、現在の僕の見解である(物凄い強運の持ち主か、物凄い眼力の持ち主なのかもしれないけど…)。もちろん、「それは違うよ」などと言ったりすると、それこそ変人だと思われかねないので聞き流しているけれど…。ちなみに、自分も、もう十数年前になるのだが、お客さんの大瀬でのログブックに見た魚としてトウシマコケギンポの名前を書かせてしまったことがあるのだが、恥ずかしながらほぼ100%間違いであった。勉強不足なガイドだったと思う。

 自分は大瀬でこの十数年、かなりの情熱を持って何百個体というコケギンポの仲間を見続けているのに、見ることが出来なかったのだから、そんなにそこかしこにいるはずはないと断言できる。もちろん、居ないはずは無いとも思っていたけれどね。

 話はトウシマコケギンポのことに戻るが、じつはトウシマコケギンポにもイワアナコケギンポというソックリさんが居る。あとハダカコケギンポというのもこっちのグループになるようだが、これはやや南方系らしい。伊豆で見られる可能性が高いトウシマコケギンポとイワアナコケギンポの違いは、眼上皮弁の数と、胸鰭の軟条数を数えれば分かるのだが、画像の個体はザッと数えただけでも10本以上の眼上皮弁数が確認できるので、トウシマコケギンポとしてもよいのではないかと思う。ちなみにイワアナコケギンポの眼上皮弁数は6~7本とされている。

 以前に大瀬でヘビギンポの仲間の未記載種(通称=赤ヘビ)を見つけたときもウレシかった。赤ヘビは、それ以前から大瀬で潜る愛好家の間では存在を認知されている魚だった。それでも何とか自分で探したくて、フィールドワークの中で試行錯誤しつつ探し出すことが出来たのがウレシかったのだ。赤ヘビとヘビギンポは同じところにも居るものの、やや生息エリアにズレがあったので、その辺を判断できるようになったことでコンスタントに観察することができるようになったという経緯のプロセスにもヨロコビがあった。
 トウシマコケギンポの場合は、ちょっと違っていて、生息環境は大瀬のレギュラーメンバーのコケギンポと同じなので、ほぼ偶然の出会いに期待するしかない中での遭遇ということになる。願って止まない偶然の出会い。こうゆうのもまたダイビング=フィッシュウォッチングの醍醐味だと思う。
 今回、こうして見られたということから、何らかの要因によって、トウシマコケギンポが大瀬でも普通に見られるようになるかもしれないという可能性が考えられる。たとえば潮流の影響などがあった場合というのは、同じ種や同じエリアに棲む生き物が一気に見られるようになることが多いからだ。そうなったら、それもまたオモシロイのかなと思うし、本当にたまたま迷い込むようにこの1匹だけが流されてきたのであれば、それもまたドラマである。縄張り意識が強いコケギンポたちの中で、この1匹のトウシマコケギンポがどうゆう人生を送るのかにも興味がある。また、大瀬に通わなくてはならない理由がひとつできてしまった。

コケギンポ科 / Chaenopsidae
トウシマコケギンポ / Neoclinus toshimaensis (Fukao,1980)



トウシマコケギンポ / 大瀬

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2007/12/16(日) 23:59:40Fish trackback:0 comment:2 トウシマコケギンポ / 大瀬
コメント
この記事へのコメント
> Vin さん
 ここにコメントが付くとは思っていませんでした!(笑)。

 このネタの意味を理解してもらえるヒトって、けっこう少ないのではないかと思っていたのですが、個人的ランキングでは"カケハシ&ミジン"を抜いて今年の思い入れナンバー1トピックになるであろうネタなので、コメントいただけてウレシイです。

> 大瀬でトウシマコケギンポを探してる方がいたことの方が貴重かもしれませんね。(笑)

 探してましたよ~…というか、いつか出会えるのでは…いつか来てくれるのでは…と思い続けてきたと言ったほうが正解ですかね。ついに見つけたと言うよりは、ついに会えたという感じです(笑)。

 現地に張り付いていたときには見れなかったのに、少し離れたら見れたというのもオモシロイものです。

 次は大瀬で"黄ヘビ"に会いたいですね!
2007/12/17(月) 18:52:14 | matsukawa | #4R5.xbJk[ 編集]
これは貴重!!
タイトルだけ見て、「おや?大瀬にトウシマっていたっけ?」と思いました。
ちゃんと探せばいるんですね。凄いです。

でも、大瀬にトウシマコケギンポがいたことより、大瀬でトウシマコケギンポを探してる方がいたことの方が貴重かもしれませんね。(笑)
2007/12/17(月) 12:42:52 | Vin | #SFo5/nok[ 編集]
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"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。

ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…

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