井田の海は潮通しが良く、近隣のエリアと比べてクリアなコンディションに恵まれることが極めて多い。この日も軽く20mオーバーの透視度で、遥か彼方まで見渡せるような明るい素晴らしい状況の中、そこに居るだけで至福を感じる時間を過ごすことができた。
しかし、その明る過ぎるコンディションが災いしてしまうことも無いわけではない。まあ、思いっきり楽しんでいながら贅沢な悩みとも言えるのだが、このとき僕が使っていたF30のようなオート専用機コンパクトデジタルカメラだと、露出の制御が手に負えなくなってしまうのだ。マニュアル露出機で外部ストロボを使えば、もう少しまともに撮れたと思うのだが、それでも、このハイエストライトへ至る階調の乏しいグラディエーション表現はデジタルカメラの最大の弱点であり、「使えそうな画像」を撮ることは出来ても「満足いく画像」を撮るには、まだまだ時間がかかりそうな気がしている。
上の画像は、クロホシイシモチ幼魚の大群を背景にアオリイカを狙ったものだが、おそらくこれが銀塩ポジであったら、失敗作として即ゴミ箱行きにしてしまったであろう。
下方の産卵床と上方から降り注ぐ太陽光の輝度差が大き過ぎて、産卵床は黒く潰れ、水面は完全に白飛びしてしまっている。時間帯を選べば、もう少し水面の白飛びを抑えることができたと思うのだが、銀塩フィルムで撮影していれば最高のショットを手に入れることが出来たはずのこのひとときに悪戦苦闘してしまうというのは、やはりカナシイ。
デジタルから撮影を始めた人たちは、この階調の乏しさにもわりと頓着が無いようだが、銀塩フィルムで育った世代にとっては、この辺のところが何とかならないものだろうか…と無いものねだりをしてしまうところなのである。
…とはいえ、このブログの画像は、誰でも無理なく買える安価なコンパクト機で大掛かりな装備は用いずに、気軽に海の中をスナップしていくというコンセプトのもとに撮影しているわけで、なぜそんなことをしているのかと言うと、写真は楽しく撮らなきゃツマラナイと思うからである。コンパクトデジカメで撮りはじめてから、同じ土俵で話が出来る写真仲間がたくさん増えたのもウレシイことだ。まあ、上に書いたことは、届くかどうかは別として、メーカーに対する一人のユーザーの声みたいなものであって、撮影の場においては、自分の持っている道具とか海況とか…さまざまな条件の中で、持ち得る経験と知識と技術を駆使して何とかしてやろうと!いうのが撮影の醍醐味だと思う。「○○だったから撮れなかった…」なんて言うのは、透視度0mとか、時化で波が強すぎたなんて時だけでしょう。どんな状況でも、どんな機材でも、その時その機材でしか撮れないイイ写真は撮れると思うし、どんな状況でも楽しめる方がイイに決まっていると思うのであった。(それでも撮影者の意図を作品に反映することが出来るマニュアル露出機能だけはカメラに装備して欲しいけど…)
ヤリイカ科(ジンドウイカ科) / LOLIGINIDAE
アオリイカ / Sepioteuthis lessoniana (Lesson,1830)
FUJIFILM FinePix F30
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"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。
ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…
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このブログで御紹介している画像は、基本的にノートリミング画像です。
ただし、[トリミング有り]と書かれている画像は、生物を分かりやすく紹介するために、トリミングをおこなっています。