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Diver's High +++ Underwater Photograph +++ Photographer Matsukawa Soichi

トラギスとゴマウミヘビの仲間 / 井田





 
 わりと長いこと海の中を案内する仕事をしているのだが、未だに試行錯誤暗中模索の繰り返しをしている自分のことを思うと、「おれってダメダメじゃん…」と落ち込むことが多い。まあ、幸か不幸か暢気な性格ゆえか立ち直りも異常に早いので、なんとか今日まで続けてきているのだが…(笑)。

 ガイディングというのは、海況や生物たちの状況はもちろんのこと、潜る人のスキルレベルや、その日の体調や気分の数だけ、それこそ何千何万というガイドの仕方を考えなければならないもので、完璧を求めれば、マンツーマンでやるしかないだろう。これは、どんなガイドも考えていることだと思う。常にマンツーマンでのガイディング…、率直に言って、プロフェッショナルとして食っていく事を考えると、どうソロバンを弾いたところで、そんなことは不可能だ。
 そこで、何をするのかというと、ゲストの方たちのレベルを高めることに力を注ぐことになる。ガイディングというのは、単純に分けると、"道案内(生き物探しなども含む)"と"安全管理"の2つをバランスさせながら行う作業なのだが、例えば、まったく安全管理を必要としないヒトを案内するのであれば、ほとんど前を見ながらガイディングすることができ、生き物を探したりすることに集中できることになる。その逆もまた然りである。よって、ゲストの方のスキルアップを助けることは、ガイディングの内容を向上させることにつながることになる。
 しかし、ゲストの方が、これからどんどん上手くなりたいという熱意を持った初心者~初級者ならいいのだが、そこそこの本数を潜っていたりすると、その辺がムズカシクなってくる。自分はけっこう経験を積んでいるんだという意識の強いヒトは、今さらスキルがどうだこうだ…なんて言われると煩わしいであろう。ガイドも商売でやっているので、あえて不愉快にさせるようなことを口にするのは避けることになる。わりと辛口を自認している僕も、実際の現場では、よほどのことが無い限り否定的なコメントは口にしない…と言うか出来ない(笑)。
 でも、そうゆうことが悪循環を生んでしまっているのは間違いないと思っているのも事実。もしも、これを読んでいるヒトの中に、ガイドを仕事にしているヒトが居たとしたら、絶対に頷くであろう。

 いつも書いていることだが、下手なことは何も悪いことではないと思う。悪いのは下手なことに甘んじて他人に迷惑をかけたり自然環境にダメージを与えることをよしとしてしまうことだ。
 体育会系ダイバー全盛の時代ならいざ知らず、今は、リラクゼーションや知的好奇心を満たすためにダイビングを楽しむ時代である。「練習!練習!」なんてスタイルでは、誰も潜りに来なくなってしまうので、僕らは、自然に対する愛情と思いやりの気持ちを持つことの大切さを語りかけるという方法で、スキルアップしなければという意識にアプローチしていくことになるのであった。

 では、自然にやさしいダイビングスキルって、どの程度のことが出来ていればいいのだろう…ということになるのだが、僕は、シンプルに、"海底の砂を巻き上げないダイビングが出来ているかどうか"だけを見ている。着底するときには、たいていまず手を着くと思うのだが、そのときに意識的にソフトに海底に触れているかどうか。観察や撮影が終わって海底から離れるとき、フィンで砂を巻き上げていないかどうか。もちろん泳いでいるときのことは言うまでも無いだろう。これらがきちんと出来ているヒトは、ほかのスキルも概ね出来ていることが多い。

 技術論的には"中世浮力のコントロール"ということになるのだが、要は、"自然に対する思いやりの気持ちを持つこと"である。砂を巻き上げるヒトの半分以上は、砂を巻き上げないだけの技術を持っているのにもかかわらず、自分のことしか考えていないので砂を巻き上げてしまっている。
 しかし、そんなヒトも陸上ではジェントルな紳士淑女だったりする。だから、自分がそんな酷いことをしているなんて思ってもいないということが多い。なんとも厄介なモンダイである。実際、すでに数百本潜っているのだけれど、毎回砂を巻き上げまくっている何人かのダイバーの方に、砂を巻き上げるダイバーの問題について話をしたことがあるのだが、まるで他人事のように「まったくだ」と頷いていたのであった(苦笑)。

 自然に対して謙虚に思いやりの気持ちを持って接して欲しいと思う。そうすれば、絶対にこれまでよりも内容が濃い充実したダイビングを楽しむことが出来るだろう。少なくとも、心あるガイドならば、そういった姿勢を見逃すことは無いはずなので、ガイディングにもより一層の気合が入るというものだと思う。いつもより2倍3倍のとっておきのネタを見せてくれるかもしれないしね。
 

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2007/04/17(火) 00:00:23diary trackback:0 comment:2 Diary 2007/04/17
コメント
この記事へのコメント
> のざわ さん
 たしかに、大瀬でよく見かけるシーンですね。僕も湾内に潜るときはいつも…というぐらい見かけます。
 仲良しなんですかねえ?…(笑)
 少なくとも、砂に潜っているゴマウミヘビの方からアプローチすることは出来ないので、トラギスが近くに寄っていっているということになります。…では、何のために?…というところを調べなきゃならないのですが、トラギスの性格を考えると、"食うため"という理由ぐらいしか思い浮かばないです(笑)。でも、食おうとしてるところなんて見たことないしなあ…。
 ぜひとも、朝から晩まで密着マークして真相を解明してください(笑)。
2007/04/18(水) 21:17:16 | matsukawa | #4R5.xbJk[ 編集]
matsukawaさん こんにちは。

僕も大瀬崎でトラギスとホホジロゴマウミヘビが近くに居るのを見かけるのですが、仲良しなのですか?
お互いメリットがあるのかなって疑問に思っていました。
2007/04/18(水) 20:44:37 | のざわ | #Q1C1BV.U[ 編集]
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"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。

ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…

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