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Diver's High +++ Underwater Photograph +++ Photographer Matsukawa Soichi

アライソコケギンポ? / 井田

FUJIFILM FinePix F30 f6.4 1/60 iso100




 この再会はウレシかった!


 コケギンポの仲間たちが集落を作るように棲んでいるのは、巣穴になるオオヘビガイの抜け殻が数多くある場所だ。逆の見方をすると、オオヘビガイは同じエリアに集中して棲息することが多いので、その場所を見つけることが出来ればコケギンポの仲間たちの集落を見つけることは容易になる。

 ヴィジュアル的にもキャラクター的にも個性豊かなコケギンポの仲間たちが集まって棲んでいた第2期コケギンポゾーンもそんな場所だった。

 そんな第2期コケギンポゾーンは、まず、一昨年の低気圧による強烈な大波で崩落し、そこに棲むコケギンポの仲間たちは2個体を残して姿を消してしまった。そして昨年秋の大型台風並みの爆弾低気圧によって完全に崩壊、最後まで見ることが出来ていた1個体も姿を消した。

 最後まで見ることが出来ていたのは、「キング」「オレンジ」と呼ばれ、最強の名を欲しいままにしていたオレンジ色の綺麗なヤツ。繁殖期には巣穴の周りを多くの雌が取り囲むというハーレム状態でまさに王だった。

 その後、オレンジ色の個体を見つけるたびに、「もしかしたら!」「なんだかアイツに似ている!?」…と、ドキドキしたものだが、いつも他人のそら似でガッカリしたものである。

 だけど生きていた!

アライソコケギンポ? / 井田

FUJIFILM FinePix F30 f6.4 1/60 iso100



 その姿を見たときは、一目見ただけで「ヤツだ!」と気づき、こんなにも簡単に分かるものなんだ!…と自分でも驚いてしまった。疑うべくもなかったのだが、一応、撮影した画像を過去の数多くの画像と照らし合わせ同一個体であることの確認も出来た。

 その堂々とした佇まい、現在の第3期コケギンポゾーンの面々と比べてみても身に纏うオーラが違う。例えば、今の日本のプロ野球の試合に松井やイチローが現れたら、これぐらいのオーラの違いを感じさせてくれるんじゃないかな。だけど、そう思うのは僕と沖縄にいるてつ!氏ぐらいかもしれないけど…(笑)。

 現在の調査に合わせて、こいつを「ナナ」と命名。「ナナ」= 旧「キング・オレンジ」である。第2期コケギンポゾーン出身の「ナナ=7」なので、2と7でカブだし、同じくこの個体を観察し続けていたてつ!氏も文句を言うまい。


 ここでひとつ大事なことに気づく。

 今回撮影した「ナナ」の画像を見ると胸鰭基底部の黒斑を確認できない。しかし、これまで過去に何度もこの個体の黒斑を確認しているのである。

アライソコケギンポ? / 井田

FUJIFILM FinePix F30 f5.6 1/60 iso100



 そして、今回2日間に渡り数多く撮影したカットの中から、なんとか薄っすらと黒斑らしきものが見えるカットを見つけることが出来た。

 胸鰭軟条数13本・胸鰭基底部の黒斑有り…ということで、アライソコケギンポではないかと思われる。


 今回、この「ナナ」の登場によって、第3期コケギンポゾーンの面々の画像のみならず、4年前まで遡り、第2期コケギンポゾーンの画像までチェックした。その数は膨大で、ファイルを読み込む作業だけで、最新のPCの処理能力を上回りフリーズさせてしまうほど…(苦笑)。

 それほどまでに見ていると、面白いもので、僕程度の脳みそしかなくても、かなり精度の高いパターン認識能力が備わってくる。今まで気がつかなかった違和感や特徴に敏感になってくるのだ。


 実は、僕の中で、この「ナナ」や「二代目ゴ」のようなタイプは、シズミイソコケギンポなのではないか…という仮説が出来上がりつつあったのだが、そう思いながら見ていると、黒斑の痕跡のような染みも絶対に黒斑には見えてこない。だけども、確かに黒斑ではないか…という例を見てしまうと、今度は消え入りそうな薄い染みが黒斑の痕跡に見えて仕方がなくなってくる…。

 そして調べてみると、ほとんど全ての個体に黒斑の存在が感じられるようになってくる…(苦笑)。

 こいつらみんなアライソコケギンポか?…ということになるのだ。


 シンプルに考えると、種というものが存在するのには理由があり、それは環境への適応だったりするのだと思うし、種の繁栄を考えると、同じ場所に集まるのも理に適っている。3種が同じ場所に集まる理由は見つけづらいし、あったとしてもたまたま偶然…と考えるほうがスマートじゃないだろうか。


 例えば、今回の一連の調査の中で、Theコケギンポではないか…と判定をしたのは「二代目イチ」だけで、胸鰭の軟条数が14本だったというのがその最大の根拠である。しかし、何度も「納得いかないことがある」…と書いているように、「二代目イチ」は僕のイメージするTheコケギンポではない。この場合、アライソコケギンポやシズミイソコケギンポにも例外的に存在する胸鰭軟条数14本の個体と考えた方が良いのではないかと思っている。

 シズミイソコケギンポではないか…と判定した「ニ」も、トップ画像ではその存在を確認できないけれど、一番下の画像の胸鰭基底部にアウトフォーカスしていながらも薄っすらと黒斑らしきものが見えている。…だとすれば、アライソコケギンポでは…ということになる。


 昨夜まで、僕の中で「Theコケと思われるタイプ+色黒でゴツいタイプ+綺麗でゴツくないタイプ」の3タイプに分けられていたコケギンポの仲間たちが、今現在では、「1タイプ+分けられそうで分けられない2タイプ」の2タイプになってしまっている。けっこう核心に近い手応えがあったのに、一晩にしてこの体たらくである…。


 分けられそうで分けられない2タイプ…。かなり容姿が似ていると思われるアライソコケギンポとシズミイソコケギンポの決定的な違いとされるのは、その胸鰭基底部の黒斑の有無である。そして、通常体色時に現れる体側面の模様の濃淡にも違いがあるらしいというアドバイスもいただいている。

 今の僕の中での調査の焦点はその2点に絞ろうと思っている。骨格的なものから由来するであろう顔つきなどは、きっと自然に分かってくるのではないかと思うし…。



 井田コケギンポゾーンの面々の分類調査は、まだまだ始まったばかり。答えが出るのはいつになることなのやら……(苦笑)。


コケギンポ科 / Chaenopsidae


※注意
このブログのコケギンポの仲間に関する記載は常に暫定的なものです。
このブログに書いてあることを参考にすることはあっても、絶対に基準にはしないでください。


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2010/04/22(木) 17:33:00Fish trackback:0 comment:0 アライソコケギンポ? / 井田
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"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。

ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…

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