僕がダイビングを始めた頃、大瀬湾内のハゼで最大勢力を誇っていたのは、このサビハゼだった。砂地にビッシリと隙間無く群れる様は、まさに"サビハゼの絨毯"という感じだったものだ。それが、ある時期を境に、ほとんど姿を見ることが無くなり、1本潜っても、1個体も姿を見かけないということが多い期間が長く続いた…。そして、最近は、またこのようにサビハゼの群れを数多く見ることが出来るようになった。そう言えば、今年はイワシが不漁で、ものすごい高値が付いていたなんてことがあったが、自然界のダイナミックな変化は、人間の考えなど及びもつかないところで、きわめてさりげなく行われているものなんだろうな…と思ったりしたものだ。
ちなみに、今年は少ないと言われていたイワシだが、このところ大瀬や井田では、頻繁にものすごい大群がやってきて、浅瀬に押し寄せたときなどは、海面をバケツですくうだけでバケツの中はイワシで一杯になり大漁だった。僕が通っている井田のサービスでは、今日は煮物、次の日はマリネ…という感じで、毎日美味しいイワシ料理を食べることが出来た。
さて、サビハゼの話に戻るが、長期間サビハゼが居なくなってしまった理由が、未だによくわからない。石の裏などに卵を産み付けるタイプなので、稚魚の拡散する率も低く、サビハゼがいる近所の他のエリアからの種の供給が行われづらかったのだろうか…とか、何らかの形で、一度勢力が衰退してしまった後は、他の勢力からのプレッシャーを押しのけて勢力を拡大出来るまでに時間がかかるのだろうか…などと考えを巡らせたりしたものだ。いずれにせよ、一大勢力を誇っていた種が一瞬にして弱小勢力になってしまった理由は謎のままである。極端に低水温になってしまった時があって、キンギョハナダイやソラスズメダイが絶滅状態になったこともあったが、サビハゼはそんなに低水温に弱かっただろうか…と考えたり…。まあ、人間が考えているようなことなんて、別に些細なことなのかもしれないけれど…。
ハゼ科 / Gobiidae
サビハゼ / Sagamia geneionema (Hilgendorf, 1879)
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何か居ないかなぁ…と、砂地を観察していたところ、気配を感じて顔を上げたら、このトビエイが、スゥ~ッと泳いできて、僕のすぐそばに着底した。このあたりでよく見られるトビエイは50cm未満の小ぶりなサイズの個体が多いのだが、こいつは全長1m近い大物だった。
距離にして1m半ぐらい、僕のことなど、まるで気にしていないようだ。しばらくジッとしていたのだが、急に激しく動き出した。ものすごい勢いで頭を砂の中に突っ込みはじめたのだ。どんどん穴が掘られていき、頭が隠れるぐらいの深さまで掘ると、ちょっとだけ前進して、また穴を掘り始める…。おそらく砂の中に居る獲物を狙っているのだろうけど、この場所を掘ると決めた要因は何なのだろう?トビエイには、そこに何かが居ると分かっているのだろうか…。
それにしても、トビエイの食事シーンが、こんなだとは思わなかったので、ちょっとオモシロかった。一緒に居た人は、あまりの見事な掘りっぷりに、このまま大きな穴を掘って、砂に潜ろうとしているのだと思ったらしい。それぐらい豪快な掘りっぷりだったということで…。
トビエイ科 / Myliobatididae
トビエイ / Myliobatis tobijei (Bleeker, 1854)
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ガンバって更新しようと決意したものの、やはり疲れているようだ(苦笑)。
イザリウオ科 / Antennariidae
ベニイザリウオ / Antennarius nummifer (Cuvier,1817)
西伊豆 / 井田
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更新をサボってしまっていたら、たくさんのメールを頂いてしまいました。心配してくれた方もたくさんいらっしゃって恐縮しております。また、同時に、ありがたいことだな…としみじみ思ったりするのでした。こうゆう時には、いろいろ思うところが多いですね。ちなみに本人はきわめて能天気に元気にしております。ただ、ちょっと疲れているのも事実で、やや夏バテ気味です。毎朝4:30起きで仕事に行かなきゃならないので、夜は、風呂に入って、メシを食って、野球の結果を見てオシマイという感じで、更新が滞っているというわけです。もちろん、何度か更新しようと試みたこともあったのですが、くたびれている時というのは、あまり明るくポジティブな感じで文章を書けないもので、結局UPせずに先送り…ということを繰り返していました。まあ、またボチボチと更新しようと努力はしてみますんで、気が向いたらココも覗きに来てください。
ヨウジウオ科 / Syngnathidae
ハナタツ / Hippocampus sindonis (Jordan et Snyder, 1901)
西伊豆 / 井田
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この日は、いろいろな所でアカオニナマコの放精(放卵)を見ることができた。大きなナマコが体を立ち上げる様は、なかなかの迫力だった。
下の画像は放出しているところのクローズアップ。(下の画像はトリミングしてあります。)
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体長20mmぐらいのイザリウオ。残念ながら大好きなミニサイズ幼魚のシーズンは過ぎてしまったのだが、まだ、これぐらいのサイズの個体なら見られるようだ。やはり、イザリウオの幼魚なら10mm未満の丸っこい頃が好きかな…。でも、この黒い個体は、ちょっと縫ぐるみチックでなかなかカワイイ。
このところお気に入りの井田では、ベニイザリウオを数多く見ることが出来る。シーズンになればイロイザリウオやオオモンイザリウオやクマドリイザリウオといった岩礁域に棲息する「イザリウオの仲間」を狙うことが出来る。でもThe イザリウオを見るなら、大瀬湾内の方が良いだろう。井田の浅いところでも見た事はあるのだが、基本的にイザリウオは大瀬湾内のような内湾的な環境を好むようなので、井田でのスタンダードな棲息水深はちょっと深めになるような気がする。
イザリウオ科 / Antennariidae
イザリウオ / Antennarius striatus (Shaw et Nodder, 1794)
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今年は(今年も)水温が低く、アオリイカの産卵が本格化してくれない。やはり、水温が20度ぐらいになってくれないことにはムズカシイかもしれない。この日も、水面から-5~-6mぐらいの濁ったゾーンは暖かいのだが、そこを過ぎると、視界はクリアになるのだが、水温も一気に下がり、17度を切ってしまうという感じだった。通常、大瀬では-15m前後に産卵床の木を沈めるのだが、そのあたりは、水温が低過ぎるというわけだ。…で、先日、写真の木を、水温が高い浅場に1本沈めてみたら、そこにはボチボチ産卵に来てくれているようだ。ただ、いかんせん浅場ゆえに、エントリーしてくるダイバーの通り道になっているため、アオリイカも落ち着いて産卵に集中できないようで、ウォッチングするにはイマイチという感じになってしまう。せっかくアオリイカが集まってきていても、そこへ上からダイバーが落ちてきたりするから…。いっそのこと、砂利止め岩沿いに木を並べたら良いかもしれないね。
ヤリイカ科(ジンドウイカ科) / LOLIGINIDAE
アオリイカ / Sepioteuthis lessoniana (Lesson,1830)
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"Diver's High Blog"を御覧いただきまして、ありがとうございます。
大瀬崎や井田の海の中は生き物達の楽園。
ここで見られる魚は、600種とも700種ともいわれています。
そんな海での一コマから、海の素晴らしさのほんの一部分でも紹介できたらと思います。
ちなみに、各エントリーのタイトルが掲載画像の生物名になっていますが
書かれている文章は、必ずしもその生物に関することだけではないので悪しからず…
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ただし、[トリミング有り]と書かれている画像は、生物を分かりやすく紹介するために、トリミングをおこなっています。